はじめに
肩や背中を鍛えれば、姿勢も良くなって肩こりも改善する。
そう考えて、ジムに通ったり、自宅でトレーニングを続けたりしている方もいるでしょう。
ところが、
「筋トレを続けているのに肩こりが治らない」
「むしろ筋トレをした後は肩や首が重い」
「背中を鍛えているのに、肩がいつもガチガチ」
このような状態になることがあります。
では、なぜ筋トレをしているのに肩こりが続くのでしょうか?
その理由の一つとして考えたいのが、筋肉の強さだけではなく、筋肉同士の働き方や身体の使い方です。
特に、身体の表面にある大きな筋肉「アウターマッスル」と、身体の深い部分で関節の安定や動作のコントロールなどに関わる「インナーマッスル」。
この2つはどちらか一方が重要なのではなく、お互いが協調して働くことが大切です。
この記事では、筋トレしているのに肩こりが治らない理由を、筋肉のバランスや身体の使い方という視点から分かりやすく解説します。
1.筋トレしているのに肩こりが治らないのはなぜ?「筋力」だけでは解決できない理由
1-1.肩こり=筋肉が弱い、とは限らない
肩こりになると、
「肩の筋肉が弱いから鍛えたほうがいいのでは?」
と考える方もいるでしょう。
もちろん、筋力が不足していることが身体の負担につながる場合はあります。
しかし、肩こりの原因はそれだけではありません。
長時間のデスクワーク、同じ姿勢、身体の動かし方のクセ、筋肉の緊張、肩甲骨や胸郭の動きなど、さまざまな要素が関係しています。
つまり、
「肩こりがある=もっと筋肉を鍛えればいい」
とは限らないのです。
1-2.「筋肉が強い」と「身体をうまく使える」は別
ここは、筋トレをしている方ほど知っておきたいポイントです。
例えば、ベンチプレスやラットプルダウンなどで高重量を扱えるようになったとしても、それだけで日常生活の身体の使い方まで良くなるとは限りません。
筋力が高くても、
- 肩をすくめて動く
- 首に力が入りやすい
- 肩甲骨がスムーズに動かない
- 一部の筋肉ばかり使う
といった状態があれば、肩や首に負担が集中することがあります。
筋肉の「強さ」と、筋肉の「使い方」は別の問題なのです。
1-3.筋トレ後に肩こりが強くなるなら?
筋トレをした後に、
「肩が軽くなるどころか、パンパンになる」
という場合は、一度トレーニング中の身体の使い方を見直してみましょう。
鍛えたい筋肉ではなく、別の筋肉に力が入りすぎている可能性もあります。
2.アウターマッスルを鍛えているのに肩こりが治らない?インナーマッスルとの関係
2-1.アウターマッスルとは?
アウターマッスルとは、簡単にいうと身体の表面に近い比較的大きな筋肉です。
肩周辺では、三角筋や僧帽筋などが代表的です。
これらの筋肉は、腕や身体を大きく動かしたり、力を発揮したりする際に活躍します。
筋トレで「筋肉がついた」と実感しやすいのも、こうした大きな筋肉です。
2-2.インナーマッスルとは?
一方、インナーマッスルは身体の深い部分にある筋肉を指します。
肩周辺では、肩関節を安定させるローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の総称) などが代表的です。

インナーマッスルは、アウターマッスルのように大きな力を発揮することが主な役割ではありません。
身体の動きを細かく調整したり、関節を安定させたりする役割があります。
イメージするなら、
アウターマッスル=大きく動かす力
インナーマッスル=動きを安定させ、コントロールする力
と考えると分かりやすいでしょう。
2-3.アウターマッスルとインナーマッスルはどちらが重要?
ここで注意したいのは、
「肩こりにはインナーマッスルが重要だから、アウターマッスルはいらない」
という話ではないことです。
実際には、どちらも必要です。
例えば、腕を上げるという単純な動作でも、関節を安定させながら複数の筋肉が協力して働いています。
車に例えるなら、エンジンの力だけが強くても、ハンドル操作やブレーキなどのコントロールがうまくいかなければ、スムーズには走れません。
身体も同じです。
「どれだけ強いか」だけではなく、「どの筋肉が、いつ、どのように働くか」も重要なのです。
3.アウターマッスルを鍛えても肩こりが治らない理由
3-1.大きな筋肉を鍛えるだけでは「身体の使い方」までは変わらない
筋トレを続けることで筋力が向上するのは大きなメリットです。
しかし、筋力がついたからといって、すべての動作が自動的に良くなるわけではありません。
例えば、腕を上げるときに本来はいくつかの筋肉が協力するところ、一部の筋肉に頼るクセがあるとします。
その状態で筋力だけを高めても「同じ使い方で、より強く動けるようになる」ことがあります。
これでは、肩こりの改善につながらない場合があります。
3-2.アウターマッスルに頼りすぎるとどうなる?
例えば腕を上げるとき、無意識に肩をすくめてしまう人がいます。
「腕を上げる」という動作なのに、首や肩まで一緒に力が入ってしまうのです。
このような使い方を繰り返していると、肩周辺の筋肉が休む時間が少なくなり、張りや重さを感じることがあります。
特に、
「筋トレをすると肩が凝る」
という方は、鍛えることだけでなく、どこに力が入っているのかにも注目してみましょう。
3-3.大切なのは「筋バランス」だけではなく「協調性」
「筋バランス」というと、
「この筋肉が弱いから鍛える」
と考えがちです。
しかし、実際の身体の動きはもっと複雑です。
筋肉の強さだけでなく、
- 筋肉の緊張
- 柔軟性
- 関節の動き
- 姿勢
- 筋肉が働くタイミング
- 左右差
- 動作のクセ
なども関係します。
つまり、肩こりを考えるときには、
「どの筋肉が弱い?」だけではなく、「身体をどう使っている?」
という視点も大切なのです。
4.あなたは大丈夫?筋トレしている人の「肩こり筋バランス」セルフチェック
4-1.肩・首の力みチェック
次の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
□ 筋トレ後に首や肩がパンパンになる
□ 腕を上げるときに肩がすくむ
□ パソコン作業中、無意識に肩へ力が入っている
□ 「力を抜いて」と言われても肩の力を抜きにくい
□ 肩こりだけでなく首も張りやすい
4-2.肩甲骨・身体の動きチェック
□ 肩を回すと左右で動き方が違う
□ 肩甲骨を動かすと硬さを感じる
□ 腕を上げると肩が詰まるように感じる
□ 背中を鍛えているのに肩こりが改善しない
□ 筋トレをすると肩こりが一時的に強くなる
判定
0~2個:
筋肉の使い方に大きな問題がない可能性があります。ただし、肩こりの原因は筋肉だけとは限りません。
3~5個:
肩周辺の筋肉の使い方や姿勢、動作を一度見直してみましょう。
6個以上:
筋力だけでなく、筋肉の緊張や身体の動かし方、左右差などを含めて確認することをおすすめします。
※セルフチェックはあくまで目安であり、これだけで原因を判断できるものではありません。
4-3.チェックが多かった方は要注意?
たくさん当てはまったからといって、
「インナーマッスルが弱い」
「筋肉のバランスが悪い」
と断定できるわけではありません。
ただし、筋力だけではなく、筋肉の使い方や身体の動きにも目を向けるきっかけにはなります。
特に、筋トレを続けているのに肩こりが変わらない場合は、「もっと鍛える」以外に「今の身体に何が必要なのか」を考えることが大切です。
5.筋トレしても肩こりが治らない人が見直したい5つのポイント
5-1.「もっと鍛える」前に肩の力を抜く
肩こりがあるからといって、すぐにトレーニング量を増やす必要はありません。
まずは普段から肩に力が入っていないか確認しましょう。
肩を一度すくめて、ストンと落とすだけでも、自分がどれくらい力んでいたのか気づきやすくなります。
5-2.肩甲骨や胸郭の動きを確認する
肩関節だけでなく、肩甲骨や肋骨周辺の動きも腕の動作に関係します。
「肩が硬い」と感じていても、実際には周辺の動きが十分でないこともあります。
5-3.筋トレ中に肩がすくんでいないか確認する
トレーニング中は「回数」や「重量」に意識が向きがちです。
しかし、肩こりが気になる方は、
「今、どこに力が入っている?」
と確認してみましょう。
5-4.筋トレをしていない時間も見直す
週に数回筋トレをしていても、それ以外の時間を長時間座って過ごしていれば、身体には別の負担がかかります。
特にデスクワークでは、同じ姿勢を長時間続けないことも大切です。
5-5.鍛える・動かす・休ませるのバランスを考える
身体を良くするために「鍛える」ことだけに集中する必要はありません。
鍛える、動かす、ゆるめる、休ませる。
このバランスを考えることも、身体を長く良い状態に保つためには重要です。
6.筋トレしているのに肩こりが続くなら、肩だけではなく身体全体を確認する
6-1.肩こりの原因は肩だけとは限らない
肩が凝っていると、つい肩だけを揉んだり、肩だけを鍛えたりしたくなります。
しかし、身体はそれぞれが独立して動いているわけではありません。
首、肩甲骨、胸郭、背中、腕などが連動して動いています。
そのため、
肩に負担がかかっている原因が、肩以外にある
ということも考えられます。
6-2.「筋力不足」なのか「使い方の問題」なのか
筋トレをしているのに肩こりが続くなら、
「もっと筋力をつけなければ」
と考える前に、現在の身体の使い方を見直すことも大切です。
筋力、柔軟性、関節の動き、筋肉の緊張、姿勢など、さまざまな視点から身体を見ることで、今まで気づかなかった原因が見つかることがあります。
6-3.こんな肩こりは一度専門家へ
□ 長期間肩こりが続いている
□ セルフケアをしても変化がない
□ 筋トレをすると症状が悪化する
□ 首や腕にも痛み・しびれがある
□ 肩こりによって日常生活に支障が出ている
□ 左右で身体の動きに大きな違いを感じる
強い痛みやしびれ、外傷後の症状などがある場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
まとめ
肩こりには、筋力だけでなく、筋肉の緊張、姿勢、関節の動き、身体の使い方など、さまざまな要素が関係しています。
特に、アウターマッスルとインナーマッスルは、どちらか一方だけが重要なのではありません。
大切なのは、それぞれの筋肉が適切なタイミングで協調して働くことです。
もし、
「筋トレを続けているのに肩こりが変わらない」
「トレーニング後のほうが肩が重い」
「肩や首に力が入りやすい」
という場合は、筋力をさらに高める前に、身体の使い方や筋肉の働き方を一度見直してみましょう。
そこを見極めることが、肩こり改善への一つのきっかけになるかもしれません。






