「肩こりがひどくなると頭痛がする」
肩こりに悩んでいる方は、そんな経験が一度はあるかと思います。
日本では実に3人に2人が肩こりを感じていて、国民病とも言われています。
当院にも肩こりでお悩みの方は多く来院されますが、併せて頭痛にもお悩みの方が大変多くいらっしゃいます。
肩こりがあるだけでもつらいのに、頭痛まで起きると仕事や家事はもちろん、遊ぶことにも支障をきたしてしまいますよね。
「なぜ肩こりがあると頭痛が起きてしまうのか?」
「どうしたら頭痛がなくなるのか?」
そんな疑問にお答えするために、肩こりと頭痛の関係と、その対策をご紹介します。
肩こりとは?
肩こりの「肩が凝っている」という状態は、肩周辺の筋肉の血流が悪くなったり、筋肉が硬くなってしまうことを言います。
硬くなった筋肉の中でも、特に血流の悪い部分や、日常的に負担がかかっている部分にしこりのような物ができてしまうのですが、このしこりがいわゆる「コリ」というものです。
この「コリ」が原因で肩周辺の痛みやだるさを引き起こします。
肩こりの原因
肩こりの原因は、日常生活や仕事などのライフスタイルによって様々です。
ここでは一般的に多く見られる肩こりの原因を挙げていくので、当てはまる場合はチェックしてみてください。
姿勢が悪い
いわゆる「猫背」や「巻き肩」などの姿勢が悪い方は、肩こりになりやすい傾向にあります。
「猫背」があると、背中が丸まるため頭が前に突っ込んでしまう姿勢になります。
頭の重さは成人で5~6kgほどあるため、頭が前に出ていると、頭を支えている首や肩の筋肉に負担がかかってしまいます。
「巻き肩」とは肩が内側に巻いてしまう(腕が内側に入る)状態をいいます。
巻き肩があると、肩甲骨が通常よりも外側に動きます。
肩甲骨には首や肩に繋がっている筋肉が多く付着しているため、それらの筋肉が常に引っ張られている状態になってしまいます。
これらが原因で肩や首の筋肉の緊張が強くなり肩こりが発生します。
同じ姿勢をしていることが多い
仕事や家事で日常的に同じ姿勢をとっている場合は、肩こりを感じやすくなります。
例えば、デスクワークをしている方の場合、長時間モニターを見ていてキーボードに手を置いている状態になります。
その状態が継続されると、長時間同じ姿勢をすることになるため、肩や腕の付け根の筋肉が緊張してしまいます。
また、同じ姿勢を長時間していると、全身の筋肉の運動量が低下するため、血流が悪くなります。
血流が悪くなると、筋肉は緊張してしまうため、肩こりが発生します。
眼精疲労
眼精疲労とは、目を使い続ける作業などが原因で、目の疲れや痛みを感じるものです。
眼精疲労は主に屈折異常(遠視や近視)やドライアイが原因となっていて、
近年ではVDT症候群(Visual Display Terminals症候群)と言われる、パソコンやスマートフォンなどの画面を見ての作業を長時間することで発生する症状のひとつとなっています。
この眼精疲労が、肩こりや頭痛の原因になっているのです。
運動不足
運動不足がきっかけとなり、肩こりは発生します。
定期的な運動をしないと、日常生活では同じ動作を繰り返しすることが多くなるため、筋肉の使い方に偏りがでてしまいます。
肩回りの筋肉の使い方に偏りがあると、使っていない筋肉の血流が悪くなるため、筋肉の緊張や疲労を起こしてしまい肩こりになります。
また、運動不足は、姿勢不良を招いてしまうため、肩こりの原因になります。
緊張型頭痛と偏頭痛
「私は偏頭痛持ちだからよく頭が痛くなる」
このようなお悩みは、当院に来院される患者様からよくご相談を受けます。
しかしその頭痛は偏頭痛ではないかもしれません。
ここでは偏頭痛と、偏頭痛と間違われることがある緊張性頭痛の違いをご紹介します。
偏頭痛
一般的に頭痛と言われればこの「偏頭痛」が頭に浮かぶと思います。
偏頭痛とは「ズキンズキン」と脈打つような強い痛みが頭の片側のこめかみあたりに出るのが特徴です。
症状がひどくなると、目がチカチカしたり、吐き気が出ることもあります。
偏頭痛の原因は、はっきりとは解明されていませんが、ストレスや疲労、女性の場合はホルモンの変動などにより、血管が急激に拡張することが原因で発生するといわれています。
片側の目の奥が「ズキンズキン」と脈打つような痛みがある場合は、偏頭痛を疑ってみましょう。
緊張型頭痛
「頭痛=偏頭痛」というイメージがあるかもしれませんが、実はこの緊張型頭痛が頭痛の中では一番多い頭痛になります。
緊張型頭痛は、「ギュー」と頭を締め付けられるような痛みを感じることが特徴です。
後頭部やおでこの部分、耳の上あたりが頭痛の出やすい場所になります。
緊張型頭痛が発生する原因は、肩こりや首コリ、長時間のデスクワークなどによる姿勢不良などの身体的なストレスが原因として多くあげられます。
肩こりや姿勢不良があると、首や肩、頭の筋肉が緊張し、周囲の血管が収縮することで頭痛が発生します。
頭が重く、締め付けられるような感覚があり、肩こりを普段感じやすい方は、緊張型頭痛の可能性が高いでしょう。
肩こりと頭痛の関係性
肩こりの原因と頭痛の種類についてご紹介させていただきましたが、上記した通り、頭痛の中でも「緊張型頭痛」が肩こりとの関連が深くあります。
肩こりがあると首、肩、背中に付いている「僧帽筋」という筋肉が緊張します。
僧帽筋は後頭部に付着していて、この筋肉が緊張すると後頭部付近の神経を刺激することで、頭を締め付けるような頭痛が起こります。
これが緊張性頭痛です。
「肩こりがひどくなってから頭痛がするようになった」
「頭痛がするときは肩がすごく重く感じる」
これらのお悩みがある方は肩こりからくる緊張型頭痛の可能性が非常に高くあります。
肩こりからくる頭痛の対策
「頭痛が起きたら頭痛薬を飲む」
という方は非常に多いかと思いますが、薬を飲むだけでは根本的な頭痛の原因を取り除くことはできません。
そのため、定期的に頭痛が起きてしまうのです。
しかし、緊張型頭痛は、肩こりを軽減させることで対策をすることができます。
ここからは肩こりを軽減させ、頭痛を解消していく方法をご紹介します。
座っている時の姿勢の改善
よく「いい姿勢を意識しましょう」と言いますが、意識的にいい姿勢をすると変に力が入ってしまうため、かえって肩がこってしまう可能性があります。
そのため、意識的に姿勢を良くするのはあまりおすすめできません。
ではどうすれば姿勢を良くできるのでしょうか?
それは姿勢を悪くする原因になっている筋肉に対してのアプローチをすることです。
身体の中で弱くなっている筋肉を鍛えて、使いすぎている筋肉の柔軟性を強化するだけで姿勢の変化はでてきます。
今回は座っている時に猫背になってしまう、上の画像のような座り姿勢をしている方に必要なトレーニングを紹介します。
◆巻き肩に効くストレッチ◆
◆骨盤を起こすためのお尻のストレッチ◆
◆体幹トレーニングで姿勢を正す◆
こまめに身体を動かす
長時間、同じ姿勢をして作業をしている方は、こまめに身体を動かすことを心がけましょう。
特に「肩甲骨」を動かすと、肩回り全体の筋肉を使うことができ、血流の改善にも繋がるのでおすすめです。
目のケアをする
眼精疲労を極力減らすことが肩こりや頭痛を軽減するポイントになります。
パソコンやスマートフォンの画面を長時間見ることで眼精疲労は起こります。
画面を見ている時はまばたきをする回数が減少すると言われているため、目が乾燥してしまいます。
そのため長時間画面を見るときは30分に1回、5秒~10秒ほど目をつぶるようにしましょう。
また、それ以前に眼鏡やコンタクトレンズが目に合っていない可能性があります。
目がかすんでいたり、見えづらくなっている場合は眼鏡やコンタクトレンズの調整をしましょう。
適度な運動
運動不足が原因で肩こりがある方は定期的に運動することを心がけましょう。
運動と言ってもウォーキングや軽いジョギング程度の運動で構いません。
ウォーキングやジョギングをする際は、あまり手荷物を持たずに、しっかりと腕を振って動くことで肩回りの筋肉が使われるので、筋肉の緊張がほぐれます。
運動は週末の一日するだけでも効果的ですので、無理なく継続することを目標に行いましょう。
まとめ
肩こりと頭痛の関係とその対策をご紹介させていただきました。
肩こりや頭痛に悩んでいる方は当院にも大変多くいらっしゃいます。
肩こりや頭痛を解消するには、まずその原因を探すところから始めないといけません。
この記事を参考にしていただいて、肩こりや頭痛の解決の糸口になればと思います。
自分で解決できない場合は、お近くの病院や整骨院、整体院に一度相談してみましょう。