前回は「耳鳴り・難聴」についての記事を掲載しましたが、その症状に伴って発症しやすいのが「めまい」です。

めまいを経験したことがある方は
・一日中起き上がれない
・ふらついて歩くのが怖い
このような思いをしたことがあるかもしれません。
今回は「めまい」についてお話をしたいと思います。

めまいとは?

目がかすんで目の前が暗くなったり、物が揺れてみえたり、視界がぐるぐると回転しているように見える事をいいます。

このような症状を東洋医学で「眩暈(げんうん)」といいます。

めまいの東洋医学の見方

1.肝陽上亢(かんようじょうこう)

身体の中には「肝気」というものがあり、ホルモン系の調節、血の貯蔵、精神機能などと関係があります。

そのバランスが崩れることで、身体の上部には肝気が集まり、下部には肝気が少なくなってしまい身体に害をもたらしている状態です。

症状としては

  • めまいや頭のふらつきが起こる
  • 頭頂部の張るような痛みを伴う
  • ストレスや精神的緊張でめまいが出現したり悪化したりする
  • 顔だけが赤くなってしまう
  • イライラしやすく簡単に怒りやすくなる
  • 頭重感が出現する

2.痰濁阻滞(たんだくそたい)

身体の中を流れている水分が停滞することで、その水分が粘り気をもち、身体の不要なものと交わることで汚れてしまいます。

さらに流れが悪くなることで、より水分が滞ってしまい身体に害を与えている状態です。

症状としては

  • 回転性のめまいが出現する。
  • 普段から頭重感や頭がぼんやりする感じが出現し、その症状が酷くなると頭に鉢巻をしているような締め付けられている感覚の頭痛が出現する
  • 特に曇り空の日や湿度が高い日にめまいが悪化する
  • 食事の際に脂っこいものや甘いもの、味の濃いものを食べるとめまいが悪化する
  • 胸が苦しい感じや水分を飲むと気分が悪くなってしまう
  • 手足の湿った感じやむくみ、身体の重だるさが出現する

3.気血両虚(きけつりょうきょ) 

東洋医学でいう「気」は、身体を動かす根源となるエネルギ―であり、血液や水、臓器を動かします。

「血」は体内にある赤い液体を指し、全身に酸素や栄養素を運んだり、ホルモンバランスの調整を行います。

この「気血」の働きが弱まる事により、身体に害を及ぼしている状態です。

症状としては

  • めまいや頭のふらつきをおこす
  • 精神疲労や肉体労働時に悪化する
  • 横になったり身体を休めると軽減する
  • 身体の倦怠感、無力感や脱力感、息切れを起こす
  • 何もしていなくても汗をかいてしまう
  • 唇や爪の色が淡くなる(色が薄くなる)
  • 不眠や動悸

めまいに有効なツボ

肝陽上亢の症状に効くツボ

1.太衝

足の甲で親指と人指し指の骨が交わるところにあり、ストレスによる身体の症状に有効。

2.陽陵泉

膝下の外側にある骨の出っ張りの下のくぼみにあるツボ。女性の婦人科系の症状にも有効。

3.風池

耳の後ろのとがった骨と髪の生え際の中間にあるツボ。頭痛やめまいのほかに、肩こりや寝違えにも有効。

4.照海

内側のくるぶしの下のくぼみにあるツボ。めまいや耳鳴り、足のむくみの症状に有効。


痰濁阻滞の症状に効くツボ

1.豊隆

すねの少し外側で膝と足首のちょうど中間にあるツボ。めまいに有効であり慢性的な胃腸の不調にも有効。

2.陰陵泉

膝の内側の骨の出っ張りの下にあるツボ。夏バテの症状やめまい、足がつってしまう(こむら返り)のを予防。

3.中脘

みぞおちとへそを結んだ線の中間にあるツボ。胃腸の不調からくる身体の症状にも有効。

4.頭維

おでこの角の髪の生え際にあるツボ。めまいのほか目の不調や頭痛にも有効。


気血両虚の症状に効くツボ

1.脾兪

肩甲骨の下端から指6本分下の高さで背骨から指2本分外側にあるツボ。めまいの他、消化器系の症状や足のむくみにも効果的。

2.血海

膝のお皿の上内側から指3本分上にあるツボ。めまいや婦人科系の疾患、膝の痛みに有効。

3.気海

ヘソから指2本分下にあるツボ。全身の倦怠感や無気力感がある時に有効。

4.百会

頭頂部の真ん中にあるツボ。身体の不調に万能なツボでめまい、疲労倦怠感、胃腸の不調にも有効。

ツボ押しのやり方

ツボの場所がわかったところで、早速ツボ押しをしてみましょう。

ツボ押しのポイント

●ツボ押しは1日1回を目安にしましょう(やりすぎても逆効果です)

●押すときは5秒×5回押しましょう

●押す強さは、押して心地の良い強さ~少し響く程度の強さにしましょう

●正中線(体の真ん中)以外のツボは左右で2つあるので、どちらも押しましょう

●効果的なツボが複数ある場合は全部押しても問題ありません

お灸をするとより効果的です

市販の「せんねん灸」などを使えば、適度な刺激を効果的にツボに与えることができます。

お灸は毎日やっても問題はありません。
(※皮膚のコンディションが悪く火傷してしまった場合は中止してください)

まとめ

めまいは身体が自覚しやすいサインです。

めまいを1度経験してしまうと怖くなってしまい、精神面でもかなりストレスを抱え、悪化していく可能性があります。

めまいの再発やめまいを繰り返さないためにも、このツボ押しが症状の改善に繋がれば幸いです。