はじめに

最近、寝転んでスマホを使っていたら「なんだか肘が痛い」と感じたことはありませんか?

それ、もしかしたら「スマホ肘」かもしれません。

スマホ肘は、日常生活の中の“あるクセ”が原因で起こる肘の痛みです。

この記事では、スマホ肘の仕組みや原因、他の肘の痛みとの違い、簡単にできるチェック方法、そして対策まで、分かりやすくご紹介します。

スマホ肘とは?

1-1. スマホ肘って何?

スマホ肘とは、長時間スマートフォンを操作することで肘の関節や周囲の筋肉・腱に負担がかかり、痛みや違和感を感じる状態のことをいいます。

正式な病名ではなく、近年のスマホ利用の増加とともに見られる“生活習慣による肘の痛み”です。

特に寝転びながらスマホを操作する人に多く、肘がずっと曲がったままの状態が続くことで筋肉や神経が圧迫され、痛みやしびれが出やすくなります。

1-2. スマホ肘の症状

  • 肘の内側や外側が痛む
  • 肘を曲げたり伸ばしたりすると痛い
  • スマホを持ち続けていると痛みが強くなる
  • 肘を触るとズーンとした鈍い痛み
  • 前腕や手指にしびれを感じることも

2. スマホ肘の原因とは?

2-1.  長時間の肘の曲げっぱなし

寝ながらスマホを使うと、自然と肘を90度以上に曲げた状態が続きます。

この姿勢は、肘の内側にある「尺骨神経」や、筋肉・腱に負担をかけやすく、痛みやしびれの原因になります。

2-2. 手首の固定と筋肉の緊張

スマホを片手で持っていると、手首や指を固定した状態で操作します。

このとき、前腕(ひじから下)の筋肉が持続的に収縮しており、肘の周囲の腱にストレスがたまっていきます。

2-3. 持ち方や姿勢のクセ

  • 片手だけでスマホを持つ
  • ひじを枕や布団につけたまま長時間スマホを見る
  • スマホを顔の真上で持つ

こうした姿勢も筋肉のバランスを崩し、痛みの引き金になります。

3. スマホ肘と間違いやすい他の肘の痛み

肘の痛みには、他にもさまざまな原因があります。

ここでは、スマホ肘と間違えやすい代表的な2つの肘の痛みをご紹介します。

3-1. 外側上顆炎(がいそくじょうかえん)=テニス肘

特徴

  • 肘の外側が痛い
  • 手首を反らせる・物を持ち上げると痛む
  • タオルを絞る動作で痛みが出やすい

原因

前腕の「伸筋群(しんきんぐん)」という筋肉が手首の動きに関わり、その腱が肘の外側に付着しています。
この部分が過剰に使われることで炎症が起こります。

3-2. 内側上顆炎(ないそくじょうかえん)=ゴルフ肘

特徴

  • 肘の内側が痛い
  • 手首を曲げたり、手を強く握ると痛む
  • ドアノブをひねる・重いバッグを持つと痛みが出る

原因

前腕の「屈筋群(くっきんぐん)」の腱が肘の内側に付着しており、この部分が繰り返し使われることで炎症が生じます。

3-3. スマホ肘とどう見分ける?

症状スマホ肘外側上顆炎内側上顆炎
痛む 場所肘の内側・外側、または両方肘の外側肘の内側
痺れ出ることがある(特に小指側)基本なし基本なし
姿勢長時間肘を曲げた姿勢で悪化物を持つ、手首を反らす動作で悪化物を握る、手首を曲げる動作で悪化
主な 原因長時間のスマホ操作手首(反らす側へ)の使いすぎ指・手首(内側へ)の過使用

4. スマホ肘の対策と予防法

4-1.  姿勢を見直す

寝ながらスマホを見ないことが一番ですが、どうしてもという方は以下を意識しましょう。

  • 肘をなるべく伸ばした状態にする
  • スマホを顔の正面ではなく、やや下の位置で見る
  • 両手で持つ、またはスマホスタンドを使う

4-2.  長時間の使用を避ける

  • 30分ごとに一度はスマホを置いて休憩
  • スマホを見る時間をアプリなどで管理
  • 夜はスマホを枕元に置かず、手の届かない場所に

4-3.  肘周辺のストレッチ

肘や前腕の筋肉をほぐすことで、血流が良くなり痛みや張り感を軽減できます。

簡単ストレッチ例

前腕伸筋群ストレッチ

  1. 痛みのある方の片腕を肘を伸ばしたまま前に出し、手のひらを下向きに手首を曲げる。
  2. 反対の手で伸ばした手の甲を腕が伸びて気持ち良い程度手前に引っ張る。
  3. 15秒キープ。2〜3回ずつ。

前腕屈筋群ストレッチ

  1. 痛みのある方の片腕を肘を伸ばしたまま前に出し、手の甲を下向きに手首を曲げる。
  2. 反対の手で伸ばした手のひらを腕が伸びて気持ち良い程度手前に引っ張る。
  3. 15秒キープ。2〜3回ずつ。

4-4.  温めて血流改善

痛みが強くない場合は、入浴や温熱パッドなどで肘周囲を温めると、筋肉が緩みやすくなります。冷えていると余計に筋肉がこわばり、痛みを感じやすくなるため注意しましょう。

4-5.  スマホ肘を放っておくとどうなる?

スマホ肘は、軽い段階なら自然に改善することもありますが、無理を続けていると慢性的な痛みに発展することもあります。さらに、神経を圧迫することで指先のしびれや感覚の鈍さが出ることもあるため、放置せずに医療機関に相談しましょう。

まとめ

スマホ肘は、スマートフォンの使い方や姿勢のクセによって起こる、現代ならではの肘のトラブルです。

放っておくと、しびれや神経障害に発展することもあるため、早めの対策が大切です。

  • 寝ながらスマホを使っていて肘が痛む場合、「スマホ肘」の可能性があります
  • スマホ肘は、肘を長時間曲げていることで神経や筋肉に負担がかかって起こります
  • 外側上顆炎(テニス肘)や内側上顆炎(ゴルフ肘)と症状が似ているため、簡単な検査で見分けることが大切です
  • 寝ながらスマホはできるだけ避ける、姿勢の改善、使用時間の管理、ストレッチ、温めることが対策の基本です

スマホは今や生活の一部。だからこそ、体に無理のない使い方を意識して、健康な毎日を送りましょう!

●症状が続くなら専門家に相談を

しびれや痛みが2週間以上続く場合は、医療機関や整骨院などの専門機関への相談をおすすめします。

●整骨院でできるアプローチ

  • 筋肉・関節の調整
  • 神経周囲のリリース
  • 姿勢指導や生活習慣の改善提案
  • 必要に応じて鍼治療やテーピング

痛みの原因が「姿勢」や「使い方」にある場合、手技療法やアドバイスがとても効果的です。