「ぎっくり腰は癖になるからまたやっちゃうよ」
ぎっくり腰の経験者は、一度はこのようなことを言われたことがあるかもしれません。
ぎっくり腰は西洋で「魔女の一撃」と呼ばれ、重たい物を持ったときや、不意に動いた拍子などで、腰に激しい痛みが起こり動けなくなってしまうこともあります。

「もうあの痛みは思い出したくない…」

そう思っていても再びぎっくり腰になってしまう…という方も多いでしょう。

「ぎっくり腰は癖になる」と言われていますが、予防法さえわかってしまえば癖にはならないため怖いものではありません。
ここではぎっくり腰が癖になる原因と予防法をご紹介しますので、ぎっくり腰を何度もしている方や、周りにぎっくり腰の人がいる方は参考にしてみてください。

ぎっくり腰が癖になる原因

ぎっくり腰になってしまう原因は
・重い物を持ち上げた
・朝起き上がった時に痛みが走った
・デスクワークで長時間座ったところから立ち上がった
など腰に強く負担がかかることが挙げられます。
しかしこれらはあくまでも「発生する原因」であり、これらの動きをしたからといって必ずぎっくり腰になるわけではありません。
ぎっくり腰には「根本的な原因」があるのです。

ぎっくり腰の根本的な原因

ぎっくり腰が癖になっている方には、共通点があります。
それは「身体の柔軟性の低下」です。

そもそも「腰椎」と言われる腰の関節はあまり動く関節ではありません。
「腰を曲げる」「腰を捻る」という動きは、腰椎ではなく股関節と胸椎が中心となって行われます。
そのため、本来は腰にかかる負担というのはそれほどないのです。
しかし股関節や胸椎を動かす筋肉の柔軟性がない場合、腰を曲げる動きや腰を捻る動きで腰椎に負担がかかるようになってしまいます。

そのような状態で日常生活をしていると腰の疲労がたまりやすくなり、ぎっくり腰を起こしてしまうのです。

ぎっくり腰が癖になる理由

ぎっくり腰の根本的な原因は「身体の柔軟性の低下」によるものです。
当然ながらぎっくり腰をした後に柔軟性が向上するわけではありませんので、根本的な原因を取り除かなければぎっくり腰は再発してしまいます。
これが「ぎっくり腰は癖になる」と言われる理由です。

では具体的に、どこの筋肉の柔軟性がなくなるとぎっくり腰になってしまうのかをご紹介します。

腸腰筋

腸腰筋とは股関節の前側にある筋肉で、股関節の屈曲(脚を挙げる)動作で使われます。
腸腰筋の柔軟性が低下すると腰椎の前弯が強くなり、「反り腰」になってしまうため常に腰に負担のかかる状態になります。
また、前かがみをする際に腸腰筋が関与するため、柔軟性が低下すると前かがみでの作業でのぎっくり腰をしてしまう可能性が上がってしまいます。

殿筋群

殿筋群とはお尻の筋肉のことをいい、主に股関節の伸展(脚を後ろに挙げる)動作や立った姿勢を安定させるために使われます。
殿筋群の柔軟性が低下すると骨盤が起こせなくなり、「猫背」になってしまうため腰に負担がかかる状態になります。

広背筋

広背筋とは腕から骨盤まで広がる背中の大きな筋肉のことをいい、主に肩関節の伸展(腕を後ろに引く)動作や内転(腕を内側に入れる)動作で使われます。
広背筋の柔軟性が低下すると、物を持ち上げる時や身体を捻る動きで腰に負担がかかるようになり、ぎっくり腰を起こしてしまうことがあります。

ぎっくり腰の癖から抜け出す4つの予防法

それではぎっくり腰が癖になってしまう根本的な原因を取り除くにはどうすればいいのでしょうか?
身体の柔軟性を向上させる方法からその他の日常生活で気を付けることをご紹介しますので、ぎっくり腰が癖になっている方や、ぎっくり腰になってしまった方は是非参考にしてみてください。

予防1 ストレッチ

ストレッチは身体の柔軟性を向上させるために非常に重要な運動になります。
柔軟性の有無がぎっくり腰になるかを左右すると言っても過言ではありませんので、身体の硬さを感じている方はストレッチをしてみましょう。
ここで紹介するストレッチは慢性的な腰痛にも有効です。

腸腰筋のストレッチ

殿筋群のストレッチ

広背筋のストレッチ

予防2 インナーマッスルの強化

最近はインナーマッスルという言葉を耳にすることが多いかもしれません。
人間の骨格は筋肉で覆われていますが、身体を動かす筋肉と支える筋肉とで分かれています。
この身体を支える筋肉がインナーマッスルです。
インナーマッスルは意識的に使わないと弱くなってしまいます。
特に運動不足の方はインナーマッスルが少ない傾向があるため、背骨を支える筋肉がなくなっていてぎっくり腰になってしまいます。
ここでは腹筋の深層にある「腹横筋」という背骨を支えるインナーマッスルの鍛え方をご紹介します。

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予防3 寝具の改善

朝起きた時にぎっくり腰になったことがある方や、寝起きに腰の痛みを感じる方は、寝具が合っていない可能性があります。
寝方は人それぞれなので、これにすれば絶対に大丈夫!という万能な寝具はありません。
しかしマットレスや敷布団が柔らかすぎたり、固すぎたりする場合は腰に負担がかかり、ぎっくり腰のリスクを高めてしまいます。

マットレスや敷布団が柔らかすぎる場合

  • 腰が沈み、人間本来の自然な背骨のS字が崩れてしまう
  • 寝返りがしづらくなり睡眠時に身体が固まってしまう
  • 起き上がる時に身体に余計な力が入りやすく腰に負担がかかる

マットレスや敷布団が柔らかすぎる場合

  • 腰や肩に体重がかかりやすいため、腰や肩の負担になる
  • 体重のかかる部位が集中するため、血行不良になってしまう

これらを解消する場合は、高反発で凹凸構造のマットレスを選ぶと良いかもしれません。
特に柔らかめの布団を使用していて、睡眠時の寝返りをあまりしていない方は寝具を見直すだけでぎっくり腰のリスクを軽減することができます。

予防4 長時間同じ姿勢をしない

同じ姿勢を長時間続けていると、特定の筋肉だけに負担がかかるため身体の歪みが出てしまいます。
身体の歪みがあると姿勢が悪くなるだけではなく、日常生活での身体の使い方が上手くできなくなってしまうため、ぎっくり腰のリスクが高くなります。
デスクワークや家事などの作業を長時間する時や、ソファーに長く座って映画を観る時などは注意が必要です。
対策としては、作業中にこまめに休憩をとり身体を少し動かしてあげることです。
人間の集中力は15分が限界と言われています。仕事中に15分毎の仕事の休憩をとるのは難しいと思いますが、長時間の作業を避け、こまめに身体を動かすようにしましょう。

まとめ

ぎっくり腰の癖から抜け出す予防法はいかがでしたか?
ぎっくり腰になったことのある方は、予防法の中でも自分に当てはまるものがあったのではないかと思います。
この予防さえしっかりと行えば、ぎっくり腰が癖になっている人にはもちろん、腰痛が気になっている人にも非常に効果的で、ぎっくり腰のリスクを軽減することができます。

しかし自分の身体のことは自分ではあまりよくわからないものでもあります。
ぎっくり腰が癖になっていて自分の身体のどこが悪いのかよくわからない方は、近くの病院や整骨院に受診して、身体の状態を診てもらうのもいいかもしれませんね!

自分の健康状態をしっかりと把握して、腰の痛みに怯えない生活を手に入れましょう!