はじめに
夜中に突然足がつって目が覚めた経験、ありませんか?特にふくらはぎが「ギューッ」と強く収縮して痛みが走る「こむら返り」は、多くの方が経験する症状です。
一度起きるとしばらく痛みが残るため、睡眠の質も落ちてしまい、日常生活にまで支障をきたすこともあります。
この記事では、「なぜ夜中に足がつるのか?」という疑問を、こむら返りの仕組みから詳しく解説。
さらに、水分補給や腰痛、夜中のトイレとの関係にも触れながら、原因と対策をわかりやすくまとめました。
1. こむら返りとは?
1-1. 「こむら返り」の意味と症状
「こむら返り」とは、筋肉が突然痙攣(けいれん)し、激しい痛みを伴う状態のことをいいます。主にふくらはぎ(腓腹筋)がつることが多いため、「こむら(=ふくらはぎ)返り」と呼ばれ、また医学用語では「有痛筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」とも呼ばれています。
その他にも、足の裏、太もも、手など、身体のさまざまな部位で発生します。
1-2. 痛みの特徴
- 鋭く突き刺すような痛み
- 数秒から数分続く
- 治まった後も鈍痛がしばらく残ることが多い
2. なぜ夜中にこむら返りが起こるのか?
2-1. 自律神経の働きとの関係
夜間は副交感神経が優位になり、筋肉もリラックス状態になります。
このとき、血流がやや低下したり、筋肉が緩みすぎることで、正常な神経の伝達に乱れが起き、筋肉が誤って収縮してしまうことがあります。
2-2. 睡眠中の姿勢の影響
寝ている間、つま先が伸びた姿勢(足が底屈状態)になることで、ふくらはぎの筋肉が縮みやすい状態になります。その結果、わずかな刺激で痙攣が起こるのです。
3. こむら返りの主な原因
3-1. 筋肉疲労
日中にたくさん歩いたり、立ちっぱなしで仕事をしていた場合、ふくらはぎの筋肉は大きな負担を受けています。
疲労がたまることで、筋肉の調整機能が乱れ、夜間にけいれんが起きやすくなります。
3-2. 水分・電解質の不足
神経の情報伝達には水分や電解質のバランスが重要なため、体内の水分や電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)が不足すると、筋肉の収縮・弛緩のバランスが崩れます。
これがこむら返りを引き起こす大きな要因です。
特に次のような方は注意が必要です。
- 寝る前の水分摂取を控えている
- 汗を多くかく仕事・運動をしている
- 利尿作用のある薬を飲んでいる
4. 寝る前の水分補給とこむら返りの関係

4-1. 水分不足が夜中のこむら返りを招く
多くの人が「夜トイレに行きたくないから」と寝る前の水分を控えますが、これは逆効果になることがあります。
寝ている間にも人は汗をかき、水分は失われています。そのため、就寝前の適度な水分補給はとても重要です。
4-2. どれくらい飲めばいい?
- 目安はコップ1杯(150~200ml)程度
- 冷たい水よりも常温または白湯がおすすめ
- スポーツドリンクを少量混ぜるのも効果的(電解質補給)
5. 夜中のトイレとこむら返りの関係
5-1. 起きて歩いたときに足がつる理由
夜間にトイレで起きた際、急に足に体重をかけたり、寝ていた筋肉を動かしたことで刺激が入り、こむら返りが起こることがあります。
特に高齢者は筋力が弱く、血流も滞りがちなので、要注意です。
5-2. 夜間頻尿がある方は水分の「質」と「タイミング」を調整
夜間頻尿のある方は、水分の摂取時間や種類に注意することで、トイレとこむら返りの両方を防ぐことが可能です。
- 就寝1〜2時間前までに水分を摂る(就寝直前は避けましょう)
- カフェイン・アルコールを避ける
- 軽く足のマッサージやストレッチを行う
6. 腰痛とこむら返りの意外な関係
6-1. 神経の圧迫による筋肉の誤作動
腰痛、特に坐骨神経痛を伴う場合、神経が圧迫されてふくらはぎなどの下肢に異常な信号が伝わりやすくなります。
これにより筋肉が突然収縮し、こむら返りが起こることがあります。
6-2. 姿勢の悪化 → 骨盤の歪み → 血流障害
長時間座った姿勢や悪い姿勢によって骨盤がゆがみ、腰の筋肉や血流に負担がかかります。
その結果、ふくらはぎや足先への血流が不足し、筋肉の反応が過敏になってしまいます。
7. こむら返りの予防と対策
7-1. 毎日のケアで予防しましょう!
- ストレッチ寝る前にふくらはぎや足の裏のストレッチを習慣にすることで、筋肉の柔軟性が高まり予防につながります。
- マッサージ血流を促すために、軽くふくらはぎをもみほぐすのも効果的。
- 温める足元を冷やさないよう、レッグウォーマーや湯たんぽなどもおすすめです。
ふくらはぎのストレッチ方法
リビングでイスなしでもOK。タオル1枚でふくらはぎをしっかりケアしましょう。

➀ タオルのセット
足先にタオルをかけて両手で持つ
- タオルをつま先に引っかける
- 両手でタオルを持ち、背中を丸めず姿勢をキープ
- かかとは軽く押し出すように意識
ポイント
タオルをかけたまま背筋を伸ばすことで、ふくらはぎ全体に効果的に伸び感が伝わります。

② ストレッチ
タオルを手前に引いてふくらはぎを伸ばす
- 息を吐きながら、タオルをゆっくり引く
- ふくらはぎの張りを感じるところで10〜20秒キープ
- 呼吸は止めず、ゆったりと
ポイント
無理に引っ張らず、気持ちよく伸びる強度でOK。ふくらはぎ全体にじわっと伸びを感じれば成功です。
まとめ
- 姿勢を正しく:背中を丸めると効果が減少
- 呼吸を止めない:リラックスした呼吸で筋肉がほぐれやすくなる
- 毎日続けることが効果的:朝やお風呂あとの習慣に◎
- リラックスした姿勢で座る:ストレッチ中に腰や背中へ負担がかかりにくくなる
7-2. 食事と栄養の見直し
- カリウム:バナナ、ほうれん草
- マグネシウム:アーモンド、納豆
- カルシウム:牛乳、小魚
- 水分:こまめな水分補給を忘れずに
8. それでも改善しない場合は?
8-1. 医療機関や整骨院へ相談を
頻繁にこむら返りが起きる場合、内科的な疾患や神経系のトラブルが隠れていることもあります。
また、筋肉や骨格のバランスが崩れているケースでは、整骨院での施術が効果的な場合も。
おわりに
毎晩のように足がつる…。それが当たり前になっている方も多いかもしれませんが、きちんと原因を知り、生活習慣を見直すことで改善できる可能性は大いにあります。
「寝る前に水を飲むだけ」で楽になる方もいれば、「腰のケア」がカギになる方もいます。
あなたのこむら返りの原因がどこにあるのか、今回の記事を参考にぜひ探ってみてください。そして、つらい夜中の痛みから少しでも早く解放されますように。